シンガポール政府が、外国法律事務所のライセンス制度を大幅に見直す方向で動き出した。法務省(MinLaw)は現在、外国法律事務所の参入をめぐる枠組みを簡素化し、同時に地元事務所の独立性をより強固に保つための提言を検討している。これらの提案は、ルーシアン・ウォン司法長官が議長を務める委員会の報告書に基づくもので、現行の複雑なライセンス体系を一本化し、より柔軟で明快な制度へと再構築することを目指している。
現在、シンガポールでは「ジョイント・ロー・ベンチャー(JLV)」「フォーマル・ロー・アライアンス(FLA)」「クオリファイング・フォーリン・ロー・プラクティス(QFLP)」など複数の枠組みが並立しており、法務省はこれが過剰な負担や混乱を招いていると指摘している。特に、制度の複雑さが海外の有力法律事務所との建設的な連携を阻んでいる可能性もあるという。
新たな提案では、外国事務所と提携を希望する地元法律事務所に対し、「独立性と実質的な運営実態」を示すことが義務付けられる見通しだ。具体的には、少なくとも5人のシンガポール人弁護士と、3年以上同職に就いている3人の持分パートナーを擁している必要があるとされる。また、外国法律事務所側に対しても、シンガポール人弁護士の比率を全体の50%以下に抑える上限が設けられる。これは、現行の80%からの大幅な引き下げとなる。
委員会の調査によると、2017年から2024年の間にQFLPに所属するシンガポール人弁護士の数は50%以上増加した一方、外国人弁護士の増加率は9%にとどまった。これにより、外国事務所が地元弁護士に過度に依存する傾向が強まっているとの懸念が生じている。法務省はこの動きを抑制し、シンガポールの法曹界が国際競争力を保ちながらも独自の専門性を維持できるようバランスを取る方針だ。
今回の提案に対しては、12月10日までの8週間にわたりパブリック・コンサルテーション(意見募集)が実施される予定となっている。
また、制度改定が進む中でも法務省は、現在活動している9つの外国法律事務所(QFLP)のライセンスを2027年末まで2年間延長することを発表した。これらの事務所は2021年から2024年の間にオフショア業務で20億シンガポールドルを超える収益を上げ、シンガポール国内では550人以上の弁護士を雇用している。
QFLP制度は2008年に導入されたもので、外国法律事務所が商業関連分野に限りシンガポール法の業務を行うことを認める仕組みだ。刑事法や家族法といった純粋な国内業務は対象外だが、国際ビジネスの中心地として成長を続けるシンガポールにとって、この制度は海外資本を呼び込む重要な橋渡し役を担ってきた。今回の見直しは、そのバランスを再調整し、法曹分野の競争力をさらに高める狙いがあるとみられる。














