ギリシャとキプロスの間で続いていた「グレート・シー・インターコネクター(GSI)」電力連系プロジェクトを巡る争いが、部分的な合意に向けて動き出した。10月17日にアテネで開かれた会合では、ギリシャ環境エネルギー省のニコス・ツァフォス副大臣を議長に、両国のエネルギー規制当局であるRAE(ギリシャ)とCERA(キプロス)、そしてギリシャの送電事業者IPTOが出席した。この会合で、投資支出の検証方法と認定額に関する一定の妥協が見られたと報じられている。
キプロス側は、IPTOが申告した総額3億3300万ユーロの投資のうち、8200万ユーロのみを現時点で認定し、残る2億5100万ユーロについては2027年の最終監査で再評価すると主張。これにより、2026年初頭に予定される2500万ユーロの支払いは予定通り実施されるが、最終的な清算までは不確定要素が残ることとなった。IPTOはすでにCERAを相手取り、全額を認めないのは不当だとして訴訟を起こしており、法廷闘争も続いている。
IPTOの懸念は、もし現段階でプロジェクトが中断された場合、認定されるのは8200万ユーロに過ぎず、実際に投じた2億5100万ユーロの扱いが宙に浮く点にある。これにより財務的リスクが生じるため、同社は「部分認定では投資の安全性が確保されない」と強く反発してきた。一方、CERAは「8200万ユーロの認定で、今後3年間のプロジェクト資金流動性は十分に保たれる」との立場を示しており、最終的な監査時に全ての投資内容を検証する仕組みが整っていると説明する。
さらに、ギリシャとキプロスの政府間協定に基づく2500万ユーロの支払いをめぐっても意見の相違があった。IPTOは、この支払いが最終投資認定なしに行われれば「国家補助」に該当するおそれがあると主張したが、キプロス側は欧州委員会の競争総局(DG COMP)がすでに合法と確認したと反論。最終的には、規制監査が終了する2027年まで暫定措置として支払いが継続される見通しとなった。
両国の規制当局は、2025年までにCAPEX(設備投資額)として5億7200万ユーロを承認済みで、RAEは暫定的に700万ユーロの規制収入も認めている。CERAもまた、政府間協定に基づく支払いを再確認しており、最終的な費用の監査と清算は2027年に行われる予定だ。
今回の合意により、「建設開始へのゴーサイン」が出たわけではないが、政治的な緊張が一時的に和らいだことは確かだ。9月にはキプロスのニコス・クリストドゥリーデス大統領がギリシャの送電事業者を「脅迫まがい」と非難したことで関係が悪化し、ギリシャのミツォタキス首相が事態収拾に乗り出す事態となっていた。今回の協議は、そうした対立を沈静化させるための「必要な休戦」としての意味合いが強い。
それでも、GSIプロジェクトが直ちに前進するわけではない。現時点では規制・会計上の合意が暫定的に整ったにすぎず、実際の建設や資金調達に関する不確実性は残っている。関係者は「今回の合意は緊張を下げるためのものにすぎず、プロジェクトを本格的に始動させる段階ではない」と述べており、地中海の電力連系構想が軌道に乗るまでには、なお時間がかかる見通しだ。














