世界経済、関税逆風でも底堅さ OECDが示す意外な強さ

世界経済が想定以上の底堅さを見せている。OECD(経済協力開発機構)は最新の経済見通しで、ドナルド・トランプ政権による貿易関税の影響が懸念される中でも、人工知能(AI)への積極的な投資や財政・金融政策の支援によって、世界の景気は予想外に回復力を保っていると指摘した。今回の報告では、米国とユーロ圏の2025年・2026年の成長率見通しが引き上げられ、その他の主要国についても小幅ながら上方修正が行われた。

しかし、OECDは楽観一辺倒ではない。世界全体の成長率は2025年の3.2%から2026年には2.9%へと減速する見通しであり、貿易関税の本格的な影響がこれから徐々に現れてくると警告する。事務総長マティアス・コーマン氏は、「世界経済は高い貿易障壁や不確実性にもかかわらず今年は強靭さを示したが、今後は関税が価格上昇を招き、個人消費と企業投資を抑制する可能性が高い」と述べた。

トランプ政権が進める国際商取引ルールの再構築は、その影響範囲も時期も読みづらい。OECD自身も今年6月には米国の成長率を1.6%と予測していたが、9月には1.8%へ引き上げ、最新では2%とさらに上方修正した。背景には、AI分野の投資急増がある。特に米国ではデータセンター建設を含むAI関連投資が生産と貿易の流れを支えており、技術セクターが他の産業を大きく上回る成長を見せている。

OECDの分析では、もしAI投資ブームが存在しなかった場合、米国経済は今年前半に0.1%のマイナス成長となっていた計算だという。つまり、AIが経済を実質的に押し上げている構図が鮮明になりつつある。一方で、その急拡大が資産価格を過度に押し上げている懸念もあり、OECDは「楽観が急速に反転すれば資産売却が強制されるリスクがある」と警鐘を鳴らす。

こうした不確実性に加え、世界の貿易措置が急速に変化している点も、経済見通しを一段と脆くしているという。OECDは、今後の世界経済の軌道は「依然として多くのリスクに左右されやすい」とし、各国の政策判断がこれまで以上に重要になると結んでいる。貿易環境の先行きが読みづらい中で、AI投資という新たな推進力がどこまで持続的に経済を支えられるかが、大きな焦点となっていくだろう。

https://financialpost.com/news/economy/world-economy-surprising-resilience-tariffs-oecd