サモアで再びメディア自由が揺らいでいる。現在、同国の有力紙「サモア・オブザーバー」が首相によって取材から排除されており、地域のジャーナリストやメディア団体から強い懸念が示されている。この一連の騒動は、医療治療のため8週間ニュージーランドに滞在していたラアウリアレマリエトア・レウアテア・ポラタイヴァオ・シュミット首相が帰国した直後に起きた。彼の帰国を確認しようと記者たちが自宅を訪れた際、首相はこれを「無断侵入であり、無礼だ」として反発し、同紙に対して取材への参加を禁止したとされる。
首相は、不在中にサモア・オブザーバーが報じた副首相や高官に関する記事の一部は「虚偽だった」と主張し、議論はさらに拡大した。かつてフィジーが厳しいメディア法によって独立報道を大きく制限していたことを覚えている関係者は、このサモアでの動きを「自由の後退」とみなしている。
地域のメディア団体は一斉に反発した。太平洋島嶼国ニュース協会(PINA)は今回の措置を「民主主義と説明責任を揺るがす深刻な脅威」と断じ、報道への不満はメディア評議会を通じて扱うべきだと強調した。フィジー・メディア協会のスタンリー・シンプソン事務局長も、「不都合な報道であっても、政治指導者が報道機関を沈黙させることは民主主義を弱体化させる」と述べた。メディアは権力の監視役として欠かせない存在であり、国民に必要な情報を届ける責任があるという考えだ。
さらに、南太平洋大学(USP)のジャーナリズム学生協会(JSA)も厳しい声明を発表し、この措置を「意図的かつ組織的に公共の監視を制限する行為」と非難した。こうした動きは若者のジャーナリズム職への信頼を損ねかねないと警告している。
批判が相次ぐ中、首相は11月20日の会見で今回の措置について「禁止ではなく一時的な停止だ」と説明し、「メディアの自由は損なわれていない」と主張した。あくまでサモア・オブザーバー自身が掲げる「正確、公平、そして中立」という基準を守るよう促すものであり、事実に基づく報道を阻害する意図はないという。
それでも、多くの関係者は今回の一連の対応がサモアの報道環境に長期的な影響を及ぼす可能性を懸念している。政治指導者が報道機関に圧力をかける構図が定着すれば、他のメディアが萎縮し、公的な議論や政治的透明性は大きく損なわれかねない。太平洋地域では民主主義の基盤としてのメディアの役割が改めて問われており、この問題の行方は今後も注視されるだろう。














