東南アジアのデジタル経済、2025年末に3,000億米ドル突破へ シンガポールがAI投資の中心に

東南アジアのデジタル経済が、かつてないスピードで拡大している。Google、テマセク、ベイン・アンド・カンパニーが共同発表した第10回「e-Conomy SEAレポート」によると、同地域のデジタル経済規模は2025年末までに3,000億米ドルを突破する見通しだ。これは2015年に掲げられた「2025年までに2,000億ドル規模」という目標を3年も前倒しで達成したことを意味する。レポートでは、従来の6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)に加え、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーの4カ国を新たに対象に加え、地域全体をより包括的に分析している。これら4カ国は全体の約2%の市場規模を占めるが、デジタル経済の成長構造をより立体的に映し出すものとなっている。

報告書によると、2025年の東南アジア10カ国全体のデジタル経済収益は1,350億米ドルに達する見込みであり、利益率の改善も続いている。特に電子商取引(Eコマース)が最大の分野で、年間取引総額は1,850億米ドル、収益は410億米ドルに上ると予測されている。成長の主な要因は、主要プラットフォームの規模拡大に加え、「ショッパーテインメント」と呼ばれる動画配信型販売の急成長だ。2022年には全体の5%未満だった動画コマースが、今年はEコマース取引の25%を占めるまでに拡大している。Bain & Companyのフロリアン・ホッペ氏は「消費者は販売者と対話したいと考えており、クリエイターが日々動画を投稿し、信頼を築くことが購買行動を生む」と指摘した。

また、オンライン旅行も成長セグメントの一つで、航空運賃や宿泊費の上昇、ビザ規制の緩和が追い風となっている。

投資面では、東南アジア全体の民間資金調達が前年比15%増の約80億米ドルとなり、そのうちAI関連スタートアップへの投資が20億米ドル以上を占めた。特にシンガポールは、地域のAI拠点として群を抜いており、全体の55%にあたる13億1,000万米ドルを引き寄せた。現在、東南アジア全体で約700社のAIスタートアップが活動しているが、そのうち約500社がシンガポールに拠点を置いている。テマセクのフォック・ワイ・ホン氏は「AIはもはや無視できない投資テーマ。シンガポールの強みは地域のAIインフラ拠点として波及効果を生み出している」と述べた。

一方で、シンガポールはエネルギー消費の上限に達しつつあり、クラウド事業者はマレーシアなど周辺国への拠点拡張を進めている。報告書では、東南アジア全体のデータセンター容量が今後180%増加すると予測しており、これはアジア太平洋地域の他の国々を上回る成長率だという。

この10年間で、東南アジアのデジタル経済は「新興市場」から「世界の次なるデジタル成長エンジン」へと進化した。今後もAIとクラウドインフラを中心に、技術と資本が地域を循環する新たな経済圏が形成されつつある。報告書が示すように、東南アジアのデジタル化の波は、単なる商取引の変革にとどまらず、社会全体の構造をも変えようとしている。

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