シンガポール・フィンテック・フェスティバル2025、次の10年の金融技術の未来を描く

シンガポールで毎年開催される世界最大級のフィンテックイベント「Singapore FinTech Festival(SFF)」が、2025年11月12日から14日まで開催される。10周年を迎える今年のテーマは「Technology Blueprint for the Next Decade of Finance(次の10年の金融技術の青写真)」。主催はシンガポール金融管理局(MAS)、グローバル・ファイナンス&テクノロジー・ネットワーク(GFTN)、およびConstellarで、シンガポール銀行協会(ABS)の協力のもと、金融・政策・テクノロジーの対話を通じてオープンで包括的な金融エコシステムの構築を目指す。

今年のフェスティバルは、AI(人工知能)、トークン化、量子技術といった新たなテクノロジーが、どのようにグローバル金融を変革し、持続可能な成長と包摂的な発展をもたらすのかに焦点を当てる。世界各国から集う800名以上の講演者が400以上のセッションで登壇し、AIの信頼性と責任ある活用、デジタル通貨やステーブルコインの新たな活用法、量子耐性を備えた金融システムの構築、そして14億人に及ぶ未銀行層への金融アクセス拡大など、次世代の金融を方向づけるテーマが議論される。

展示エリアには、500を超えるスポンサーと出展者が参加し、6つの展示ホールに40以上の国際パビリオンが並ぶ。各ホールではネットワーキングスペースやミニステージが設けられ、世界中の金融機関・スタートアップ・政策担当者が交流し、新たなパートナーシップを築く場となる。

また、SFF10周年を記念して「SFFアニバーサリーギャラリー」では過去10年のフィンテックの進化を振り返る展示が行われるほか、未来の金融へのメッセージを封印する「タイムカプセル」企画、次世代リーダーを育成する「Next Gen Leaders Programme」などの新しい取り組みも始動する。さらに、MASが立ち上げたサステナビリティ開示プラットフォーム「Gprnt」は、PwCやシンガポール商工会議所などと連携し、中小企業560社を対象にした「SMEサステナビリティ・バロメーター2025」を発表する。

フェスティバルの前には、11月10日から11日にかけて「Insights Forum™」が開催され、官民のリーダーたちが8つの主要テーマに沿って対話を行う。また、「Layer 1 Summit」ではトークン化やAI基盤など次世代のデジタル資産インフラを議論する予定だ。同期間に行われる「Innovation Lab Crawl」では、11の機関が最先端の技術やパイロットプロジェクトを披露し、参加者は未来の金融サービスを先取りできる。

MASのフィンテック最高責任者ケネス・ゲイ氏は、「SFFはこの10年で大きく進化し、金融イノベーションの風景を形づくってきた。これからの10年を定義する場として、世界中のフィンテック関係者が協力し、新たな金融の可能性を開く契機となる」と語った。GFTNのソプネンドゥ・モハンティCEOも、「AIを責任ある形で活用し、トークン化を安全に拡大し、量子対応の未来に備えることが次の10年の焦点になる」と述べ、Constellarのチュア・ウィー・フォンCEOは「今年のSFFは最もインタラクティブで没入的な体験を提供する」と強調した。

シンガポールが築いたフィンテックの成功モデルは、いまや世界の金融デジタル化の指針となっている。SFF2025は、その次の10年に向けて金融の未来を形づくる「設計図」を描く節目となるだろう。

https://www.mas.gov.sg/news/media-releases/2025/sff-explores-the-technology-blueprint-for-the-next-decade-of-finance