詐欺犯にむち打ち刑導入 被害総額は6年間で約4,000億円超

シンガポール政府は、詐欺犯罪への厳罰化を目的とした新たな刑法改正案を承認し、詐欺行為に関与した者に対して「むち打ち刑(カニング)」を義務的に科す方針を明らかにした。現地紙『ストレーツ・タイムズ』によると、この法律は2019年以降、国内で累計40億シンガポールドル(約4,000億円)近い被害をもたらした詐欺問題への対策として導入されるものだ。

新法では、詐欺組織の運営者や勧誘者、さらには「マネーミュール」と呼ばれる共犯者──すなわち、銀行口座やSIMカード、デジタルIDなどを提供して犯罪を支援する人物も刑事責任の対象となる。処罰の内容は、最低でも6回のむち打ち刑に加え、罰金および懲役刑を科すもので、罪の重さによっては最大24回までのむち打ちが行われる可能性がある。

シンガポールでは2019年以降、詐欺による損失が急増しており、2024年だけでも過去最多の11億シンガポールドル(約1,200億円)に達した。今年1月から8月までの被害額もすでに6億シンガポールドルに上る。こうした被害の背景には、SNSやメッセージアプリを通じた投資詐欺や恋愛詐欺など、デジタル技術を悪用した新手の犯罪手口がある。

今回の改正法は詐欺対策だけにとどまらず、性犯罪や弱者への暴行、さらには公務員へのドクシング(個人情報晒し)やわいせつ物の拡散に対しても刑罰を強化している。特に、わいせつなコンテンツを10人以上に送信した場合は最長2年、18歳未満の加害者の場合は最長4年の懲役刑が科される。また、性的な誘い出し(セクシャル・グルーミング)に関しては、被害者が14歳未満の場合は最長7年、14〜17歳の場合でも最長5年の懲役が可能となり、国外で発生した事件にもシンガポールの司法権が及ぶよう拡大される。

さらに、弱者に対する暴行で死亡させた場合の刑罰も大幅に引き上げられ、これまでの最長20年から30年、あるいは終身刑にまで厳罰化された。

今回の法改正は、近年シンガポール社会で深刻化する詐欺・性犯罪への強い危機感を反映しており、国際的にも注目を集めている。政府は「市民の安全と信頼を守るため、社会全体での抑止力強化が不可欠」として、今後もサイバー犯罪への監視と法執行を強化していく構えだ。

https://www.aa.com.tr/en/asia-pacific/singapore-to-cane-scammers-under-new-law-as-4b-lost-since-2019/3734914